高齢社会になっている現代の日本において、介護業界の問題解決は急務となっています。その中の一つに、自立支援があります。自立支援とは、高齢者が自分の力で生活を維持できるように必要最低限のサポートを行うことを指します。一見すると、とても素晴らしい取り組みなのですが、実際には理想通りにいかないことも多く、課題点も複数あります。
まず、高齢者にとっての「必要最低限のサポート」がどの程度のものなのか、基準を設けることが難しいという点です。自立支援の最終的な目標は、自分の生活を自分の力でできる状態ですが、そのためにサポートを全く行わないのであれば、それはケアとは呼べません。何より、自立する前に生活が破綻してしまう恐れがあります。かといって過剰なサポートを行ってしまうと、介護なしでは生活できない、つまり自立できない状態になってしまう恐れがあります。自立支援を単なる放任にしないためには、介護士の知識や技能も必要ですし、被介護者との信頼関係も必要です。
また、自立支援は一度達成するだけでなく、それをなるべく長期間にわたって維持することも重要です。そのためには、地域との連携によって高齢者の自立を支え続ける仕組みが必要なのですが、必要な制度が整っているかどうかは、各地方自治体によって大きく異なります。場合によっては一度自立することができても、その後すぐに要介護状態に戻ってしまう、といったこともあるでしょう。自立支援と言っても一朝一夕でできることではなく、こういった課題の解決も必要なのです。